句集 俳扉の朝
四六判上製カバー装
発行日:2024/10/30
本文156頁
装幀=高林昭太
定価:2700円+税
ISBN978-4-88032-508-8
原 満三寿著
原 満三寿(はら・まさじ)プロフィール
【俳句関係】「海程」「炎帝」「ゴリラ」「DA句会」を経て、無所属。
句集=『日本塵』(青娥書房)
『流体めぐり』(深夜叢書社、以下同)『ひとりのデュオ』
『いちまいの皮膚のいろはに』『風の象』『風の図譜』(第12回詩歌文学賞)
『齟齬』『迷走する空』『木漏れ人』
俳論=『いまどきの俳句』(沖積舎)
【詩関係】「あいなめ」(第二次)「騒」を経て無所属。
詩集=『魚族の前に』(蒼龍社)
『かわたれの彼は誰』(青娥書房)『海馬村巡礼譚』(同)
『臭人臭木』(思潮社)『タンの譚の舌の嘆の潭』(同)『水の穴』(同)
『白骨を生きる』(深夜叢書社)
未刊詩集=『続・海馬村巡礼譚』『四季の感情』
【金子光晴著作関係】
金子光晴の会事務局
評伝=『評伝 金子光晴』(北溟社、第2回山本健吉文学賞)
書誌=『金子光晴』(日外アソシエーツ)
編著=『新潮文学アルバム45 金子光晴』(新潮社)
資料=「原満三寿蒐集 金子光晴コレクション」(神奈川近代文学館蔵)
あとがき
三十年ほど親しくしていただいた詩人の飯島耕一さんの代表詩集に『他人の空』があります。崩壊した戦後の精神状況を暗喩したものです。
他人の空にせよ、自分の空にせよ、かつては、そこにはまぎれもない人や生きものの空がありました。しかし今の空は、わたしたちに牙をむける凶暴な空と化したと言えるでしょう。温室ガス排出最多更新、世界気温3度上昇も杞憂ではなくなっています。
温暖化の災厄は、森を食い、石油を食い、人を食い、民族を食い、そして時代を食ってきたわたしたち人類が招いたものです。現代文明という檻に囚われたあらゆる生類が、少しでもやさしく生きられる空を望めないものでしょうか。
〈俳扉〉は、そうした危惧を抱いている最中に立ち現れた造語です。ささやかでも地球の異常とわたしなりの俳諧力で向き合ってみたいとの思いです。前句集の造語〈俳鴉〉が降らせたのかもしれません。
こう書いてきますと、自分でもなにか偉そうなことを言っているようで気がとがめますが、それはわたしの言霊がいまだにいのちの深みに達していないからでしょう。
その実体は、言葉フェチの一老人の呟きに過ぎないのかもしれません。あるいは、終章に鬼をもってきたように、ふてぶてしい孤絶の吐露なのかもしれません。
ハイカイを自給自足しながら、シャバ世界を乞食したいと願ってきましたが、寄る年波、なにほどのことが残されているのかと、書斎で飼っている老鬼に尋ねる毎日です。
俳扉 舞いでてただただ一孤蝶
この句は、前書にあるように齋藤愼爾さん追悼の句です。俳扉を模索していますと、ふわりと愼爾さん想いの句が降ってきたのです。わたしの第二句集から本句集まで、すべて生死を超えた愼爾さんの後押しのたまものです。
そしてそれを強く支えてくれたのが髙林昭太さんです。鬼のように感謝しております。
楽屋裏にて 著者