句集 ひめむかし

句集 ひめむかし

四六判仮フランス装
発行日:2023/8/8
本文250頁
装幀=高林昭太
定価:2800円+税
ISBN978-4-88032-501-9

柿本多映著

柿本多映(かきもと・たえ)プロフィール

1928(昭和3)年、滋賀県大津市生まれ。俳人。
40代後半から句作を開始し、赤尾兜子、橋閒石、桂信子に師事。『草苑』『白燕』『犀』同人を経て現在は無所属。
2013年刊行の句集『仮生』で桂信子賞、詩歌文学館賞、俳句四季大賞を受賞。
2017年、これまでの句業に対し現代俳句大賞受賞。
2020年、『柿本多映俳句集成』で蛇笏賞受賞。
2024年、『ひめむかし』で第65回毎日芸術賞受賞。
(選考委員の「選評」は下欄「あとがき」の次を参照)
【本HPのトップページに柿本多映句集『拾遺放光』と『柿本多映俳句集成』を掲載】

書店向けチラシより

前作『仮生』からほぼ10年ぶりとなる待望の新句集。
昭和のはじめに生まれ95歳を超えた今も
自在に表現を切り拓く著者の圧巻の450句を収録。


水は音楽たとへば油こぼしけり
ご執心のお多福豆を煮て食はな
左見右見鶯餅の鳴く頃ぞ
タトゥーの蝶初蝶として我に来よ
まれびとよ無性に赤き夏の月
声明は身ぬちを流れ天の川
波音のそびらに雨の椿山
立ち眠る輓馬と春を溺れゐる
蛸になりたし万国旗をかかげ
春や有為の奥山越えてダンスダンス

あとがき

 このたびの『ひめむかし』は、『仮生』(2013年刊)以後の作品を中心にまとめた。第一章「われら生きもの」には、『柿本多映俳句集成』「拾遺」制作の際、この句集のために残しておいた作品を収めた。
 出版は、長いお付き合いの齋藤愼爾さんにお願いした。年初来、齋藤さんの体調がすぐれないことは伺っていたが、最初のゲラが届いたこの2月に、元気な声を電話越しに聞いたばかり。その後一月余りで泉下の人となられるとは思いもよらず、大変残念でならない。電話では、部屋から庭を眺めているとおっしゃっていた齋藤さん、その目に映っていたものはなんだったのだろうか。
(後略)

毎日芸術賞受賞の選評から(一部引用)

「闊達自在のユーモア」(選考委員・松浦寿輝)
「一読、その表現の気韻生動、闊達自在に圧倒される。」
「95歳の俳人の旬にみなぎっているこの余裕と好奇心、そして何よりこのおおらかなユーモアは、われわれの心を温めずにはいない。」

書評(「現代俳句」2024年1月号「ブックエリア」ページ 筆者・高澤晶子)

書評

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