英仏訳 海外詠112首
A5変形上製カバー装
発行日:2023/7/7
本文146頁
装幀=高林昭太
定価:3000円+税
ISBN978-4-88032-502-6
金井一夫著 【訳】冨野光太郎【監修】マクシアンヌ・バーガー
金井一夫(かない・かずお)プロフィール
1936年、東京・向島生まれ。公認会計士及び税理士。
短歌結社「塔」「歩道」所属。国際タンカ協会会員。
歌集に『海外詠』(2019年、青磁社刊)。
オビ(表)
アマゾンの蝶が天より溢れ来てあたりたちまち光のしぐれ
Amazonian butterflies les papillons amazoniens
have overflowed ont débordé
from heaven du paradis
I then find myself je me retrouve alors
under a shower of lights sous une pluie de lumières
オビ(裏)
真向ひの道をはさみて殺し合ふそれが内戦とセルビア人言ふ
neighbors les voisins
on either side of the street de part et d‘autre de la rue
kill each other s’entre-tuent
this is our civil war c’est notre guerre civile
says a Serb dit un Serbe
はじめに
2019年7月に出版した私の第一歌集『海外詠』(青磁社刊、557首所収)は、2000年から2018年の間、即ち、私が64歳から82歳までの時期に訪問した諸外国にて詠んだ短歌を集めた歌集です。その中から112首を選び、国際タンカ協会の冨野光太郎氏に英語と仏語の翻訳をお願いして本歌集が出来上がりました。
(中略)
世界平和を祈念しつつ、この翻訳歌集が、世界各国の新しい読者の皆様に、共感を以って受け入れられることを願っています。
訳者(冨野光太郎)あとがき
金井一夫氏の第一歌集『海外詠』を手にしたのは、2019年12月でした。一読して、その視野の広さと洞察の深さに衝撃を受けました。これは日本の歌人のみならず、海外の歌人にも大きな反響と感動を呼び起こすに違いないと感じました。直ちに、『海外詠』から3首を選んで英語と仏語に翻訳しました。そして、2020年5月1日発行の INTERNATIONAL TANKA 第7号に投稿しました。
2021年夏、同誌を目にされた金井一夫氏が我が家を訪問され、自選112首の翻訳を依頼されました。私は快諾しました。何故なら、日本人が外国を訪問して短歌を詠み、それを外国語に翻訳して日本から発信することは、外国の読者が「自分自身について理解を深める」ことに貢献すると思ったからです。その結果実現したこの翻訳歌集は、日本人の目を以って、鏡の如く、外国文化を世界に反射しているように思われます。
デカルトは「われ考ふ、故に、われ在り」といいました。これは間違っていないと思います。しかし、自分自身を客観的に理解するには、更にもう一つの思考プロセス、即ち「汝考ふ、故に、われ在り」の検証が必要です。本歌集は、その役割を担っています。
最後に、英語については米国ワシントン州のYukiko Inoue Smith氏、仏語に関しては千葉のFabrice Alessandro氏、英語と仏語及び全体の監修についてはカナダ・モントリオールのMaxianne Berger氏にお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。