詩句集 風曜日
A5変形上製カバー装
発行日:2023/1/20
本文140頁
装幀=高林昭太
定価:1800円+税
ISBN978-4-88032-476-0
別所真紀子著
別所真紀子(べっしょ・まきこ)プロフィール
1934年、島根県生まれ。詩人・作家。連句誌「解纜」主宰。
著書は、詩集に『しなやかな日常』『アケボノ象は雪を見たか』『ねむりのかたち』『すばらしい雨』、評論集に、『芭蕉にひらかれた俳諧の女性史』『言葉を手にした市井の女たち』、俳諧評論『共生の文学』(長谷川如是閑賞論文を含む)、『江戸おんな歳時記』(読売文学賞)など。小説に、『雪はことしも』(歴史文学賞)『つらつら椿』(町田文化賞)『芭蕉経帷子』『残る蛍』『数ならぬ身とな思ひそ』『詩あきんど 其角』『浜藻崎陽歌仙帖』、童話に『まほうのりんごがとんできた』など。
オビ
詩と句と連句の詞華集
一茶らの俳句に詩を添えて静謐で鮮烈なポエジーを響かせる句詩付合21篇、透徹の眼差しが捉えた俳句153句、さらに練達の連句五巻などを収載。一読三嘆、新しい風を孕む瞠目の詩句集。
あとがき
つねに傍観者でしかないことの、うしろめたさを抱いていた。この国を襲った数かずの災害の時である。当事者ではない者が言挙げするのは不遜な気がして一行の詩も書けなかったのに、一茶の句を前に置くことで漸く思いの一片を書くことができたのだった。
「句詩付合」を思いついた年代も理由も忘れてしまったけれど、第二詩集『アケボノ象は雪を見たか』(一九八七年刊)に六篇載せているから三十数年以前のことになる。掲載は順不同で、私家版詩集『すばらしい雨』に大半は載せてもいる。そのほかは俳諧誌「解纜」の扉に連載したものが殆どである。
「詩や小説を書く者は連句をやらなければ駄目だ」と、故空花先生こと林富士馬氏に誘われて、何のことか判らぬままに入った俳諧連句の世界は、大層魅惑的な奥深いもので私の生涯の大きな転機となった。何よりも面白くてその面白さに浸って俳諧女性史や小説や、連句誌発行などに手を広げて、奇特にも読んでくださる方々を悩ませてきた忸怩たる思いがあるが、またこの一冊でお煩わせすることになって申しわけない次第である。
俳句は全くの自己流であって、しかも多く連句の中で生れたものなので発表に値するかどうか、忝なくも読んで下さった方々の遠慮会釈ないご批評を願っている。
(中略)
本書のタイトル「風曜日」は、画家にして詩人の故佐伯義郎氏(一九一八― ~ 一九七九年)の造語である。内容を統一していないためタイトルに悩んで、故人に申しわけないながら拝借した。
(後略)