句集 その前夜
四六判上製カバー装
発行日:2022/8/1
本文204頁
装幀=高林昭太
定価:2500円+税
ISBN978-4-88032-470-8
井口時男著
井口時男(いぐち・ときお)プロフィール
1953年、新潟県(現南魚沼市)生れ。1977年、東北大学文学部卒。神奈川県の高校教員を経て1990年から東京工業大学の教員。2011年3月、東京工業大学大学院教授を退職。
1983年「物語の身体――中上健次論」で「群像」新人文学賞評論部門受賞。以後、文芸批評家として活動。
文芸批評の著書に、『物語論/破局論』(1987年、論創社、第1回三島由紀夫賞候補)、『悪文の初志』(1993年、講談社、第22回平林たい子文学賞受賞)、『柳田国男と近代文学』(1996年、講談社、第8回伊藤整文学賞受賞)、『批評の誕生/批評の死』(2001年、講談社)、『危機と闘争――大江健三郎と中上健次』(2004年、作品社)、『暴力的な現在』(2006年、作品社)、『少年殺人者考』(2011年、講談社)、『永山則夫の罪と罰』(2017年、コールサック社)、『蓮田善明 戦争と文学』(2019年、論創社)など。
句集に『天來の獨樂』(2015年、深夜叢書社)『をどり字』(2018年、深夜叢書社)。
オビ
その前夜(いまも前夜か)雪しきる
世界やはらげよ雨の花あやめ
微かに聞こえるエコーを掬い、共振しつつ紡がれた17音――
〈俳句と自句自解によって織りなす作家論〉という画期のスタイルで、
室井光広、河林満という2人の作家を見事に描出したエッセイも収載、
俳句表現の新たな可能性を拓く第3句集
目次
俳句
句帖から(2018年~2022年)/連作から/旅の句帖から
エッセイ
追悼句による室井光広論のためのエスキース
十四年を隔てて河林満に贈るこの世の四季の十句
あとがき(抄)
発表された作品は、言葉の宇宙へと放たれて、かすかな「エコー」を響かせる。読むと は、読者が自らの耳で独自の「エコー」を聴きとることだ。室井光広はそう言った。本書の261句、そんなふうに読んでいただければありがたい。 (「あとがき」より)