水原紫苑の世界 〈保存版ムック〉
菊判並製/カバー装
発行日:2021/3/10
本文:333頁
編集統括:齋藤愼爾
装幀・編集組版:高林昭太
定価:2800円+税
ISBN978-4-88032-466-1
殺してもしづかに堪ふる石たちの中へ中へと赤蜻蛉(あかあきつ) ゆけ
(『びあんか』)
1989年、第1歌集『びあんか』で鮮烈なデビューを果たした歌人の水原紫苑。
最新歌集『如何なる花束にも無き花を』(本阿弥書店)は2020年度毎日芸術賞を受賞するなど、現代短歌の最前線にたち続けている。最新刊は『百人一首 うたものがたり』 (講談社現代新書)。
その短歌作品はもとより、卓抜な論考や洒脱なエッセイ、奇想に満ちた小説など多岐にわたる文業の全容に、完全保存版ムックで迫る。
「水原紫苑プロフィール」は小社刊『歌集 びあんか/うたうら』のページ参照
https://www.shinyasosho.com/home/book1412-01/
目次
◇水原紫苑アルバム
◇論考&エッセイ Ⅰ〔書き下ろし〕
馬場あき子 如何なる花束にも無き
四方田犬彦 死者との契約
阿部日奈子 『歌舞伎ゆめがたり』の軽やかなパロディ精神
川崎賢子 「ドグラ・マグラ」を遠く離れて―水原紫苑と夢野久作の世界
穂村 弘 紫苑さんのこと
村上 湛 毒語の明智―水原紫苑賛
◇十首選&作品論〔書き下ろし〕
小島ゆかり 白犬と遊ぶ人
川野里子 近代を蔑(なみ)する星―短歌史のなかの水原紫苑
石川美南 「戦争の木」と「戦争の子」
山崎聡子 生まれなかった私へ
平岡直子 水原紫苑、恋愛の歌の旗手
大森静佳 みごもる魂
川野芽生 幼年期の終わり―世界との蜜月から対立へ
◇短篇小説〔書き下ろし〕
水原紫苑 薔薇色のジャンヌ
◇論考&エッセイ Ⅱ
高野公彦 もう一人の、本当の〈私〉―『びあんか』の世界
春日井建 『びあんか・うたうら』解説
蜂飼 耳 遥かかなたを見る歌
中山 明 水原紫苑の魅力について―歌集『びあんか』を読む
山中智恵子 水原紫苑―『をんな百人一首』より
谷川健一 私の好きな歌―水原紫苑
穂村 弘 しんしんとひとりひとりで歩く―〈わがまま〉について
ミイラ製造職人のよう―違和の感受とその表現(抄)
荻原裕幸 横糸の見えない織物―水原紫苑論
馬場あき子 存在をめぐる思索の詩
佐藤弓生 裸身の旅人―水原紫苑の短歌
黒瀬珂瀾 世界は一曲の能に―水原紫苑『世阿弥の墓』
古橋信孝 植物的な発想へ―戦争の木
城戸朱理 全身、これ霊山
菅原百合絵 Everywhere is out of the world―水原紫苑試論
寺井龍哉 恋・おぼえていますか―水原紫苑『えぴすとれー』
睦月 都 眼をみひらいて、時代を―水原紫苑『えぴすとれー』
盛田志保子 たましひの泥をぬぐへば―今月の歌
栗木京子 歌言葉の明度と暗度―水原紫苑『如何なる花束にも無き花を』
◇水原紫苑 論考&エッセイ
山中智恵子私論
「若い定家」のそののち―『春日井建』解説
あらかじめ断念された夢―佐藤佐太郎小論
「鳥の道」をめぐって―前川佐美雄と山中智恵子
大岡信『折々のうた』選―短歌(一)解説
短歌(二)解説
実は苦手な塚本邦雄
稲葉京子先生のこと
憂愁の光―米川千嘉子歌集『牡丹の伯母』
もうひとつの死者の書―東直子の作品世界
和歌という不死身の生きもの―久保田淳『「うたのことば」に耳をすます』
歌舞伎座わが愛
永遠のジェラール/リルの老犬/ヘクトール頌
◇講演録
水原紫苑 山崎方代とわたし
◇水原紫苑インタビュー
春日井建 この人に聞く
山中智恵子 式子と定家をめぐって
◇対談&鼎談
「歌舞伎を語る」 中村雀右衛門〔四代目〕+渡辺 保+水原紫苑
「歌に内在する息をつかむ」 松岡心平+水原紫苑
「日本人にとって挽歌とは何か」 山折哲雄+上野 誠+水原紫苑
「伝統を継ぐ、歌とつながる―百人一首をいま読むということ」
馬場あき子+水原紫苑
「平和と戦争のはざまで歌う―〈今ここ〉をいかに超えて歌うか」
吉川宏志+水原紫苑
◇水原紫苑 自選五百首
◇佛語譯二十首
◇水原紫苑年譜