句集 流体めぐり

句集流体めぐり

四六判/並製/ソフトカバー
本文70頁
装丁=高林昭太
発行日:2015/5/15
定価:1200円+税
ISBN978-4-88032-421-0

原 満三寿著

原 満三寿(はら・まさじ)プロフィール

1940年、北海道夕張市生まれ。埼玉県川口市在住。
所属・著作・受賞歴は次の通り。
【詩関係】 第二次「あいなめ」「騒」を経て、無所属。
   詩集『魚族の前に』(蒼龍社)、『かわたれの彼は誰』(青娥書房)、『海馬村
   巡礼譚』(青娥書房)、『続・海馬村巡礼譚』(未刊詩集)、『臭人臭木』
  (思潮社)、『タンの譚の舌の嘆の潭』(思潮社)、『水の穴』(思潮社)、
  『白骨を生きる』(深夜叢書社)
【俳句関係】「海程」「炎帝」「ゴリラ」「DA句会」を経て、無所属。
   句集『日本塵』(青娥書房)
   俳論『いまどきの俳句』(沖積舎)
【金子光晴関係】
   評伝『評伝 金子光晴』(北冥社/第二回山本健吉文学賞)
   書誌『金子光晴』(日外アソシエーツ)
   編著『新潮文学アルバム45 金子光晴』(新潮社)
   資料『原満三寿蒐集 金子光晴コレクション』(神奈川近代文学館蔵)

オビ

独往の詩人が開示する
新しい俳諧のかたち

  白骨が白骨を嗅いで冬籠り
  昔この焚火で灼かれた記憶あり
  死螢と知らずに闇に手をいれる
  雁行の枯野を行けば消える人
        桃さいて薄笑いする日章旗
        花と痴れ「悪の凡庸さ」と知るべしや
        眼のぞかれどうしょうどうしょう紫木蓮
        春の夜や白骨だけの山手線
        万緑や生前の子死後の子繁るかな
        蜩の古書肆であさる蟬の殻

「跋」から(抜粋)

「非人としての俳諧者」                        齋藤愼爾
 原氏の俳論集『いまどきの俳句』は、ほぼ二十年という歳月、私の座右の書である。氏は稀にみる思索の、思想の人である。金子光晴師について語った「肉体の、内臓の深いところで思想する詩人」は、まさに原氏その人以外の誰でもない。帰属すべき権威や秩序をもたず、共同体の物語や神話に安住することもない。正統を持たず、群れることを拒否し、一人で国家と対峙する非定住の精神。前途茫洋、途方に暮れたとき、私はきまってこの書を開いた。峻烈なロゴスの淵源を穿つていの魂魄の息吹きに触れ、そのたびに私は蘇生することが出来た。
「俳諧という構造が、日本文化の異端の装置として機能している」という氏の俳諧から引く。
 桃さいて薄笑いする日章旗
 花と痴れ「悪の凡庸さ」を知るべしや

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