明けゆく次元 我、物質、真理論
A5判/上製/本文516頁
装丁=高林昭太
発行日:2014/1/15
定価:3600円+税
ISBN978-4-88032-413-5
桶本欣吾著
桶本欣吾(おけもと・きんご)プロフィール
1943(昭和18)年生。早稲田大学西洋哲学科卒。著述に、哲学論『光から時空へ』(深夜叢書社、2011年)、短編集『迷宮行』(深夜叢書杜、1980年)、詩集『禍時刻』(深夜叢書社、1981年)がある。
ほかに、短編「金色の森」(「早稲田文学」1982年10月号)、「大椿」(「季刊月光」第2号、2004年6月)、論考「生成場論」(「季刊西東」第2号、2005年8月)など。
オビ (表のオビ文)
素粒子論のその先に
新たな次元が開顕する
直知の哲学による自己と宇宙の再提示
〈著者からのメッセージ〉 いま新たに提示される「非時空の次元」とは?
わたしたちの宇宙は、アインシュタインのいう縦・横・高さからなる3次元の空間に1次元の時間を加えた4次元時空であるというのはよく知られている。しかしすでに物理学では超ひも理論が10次元あるいは11次元説を提出し他にも高次元説が出てきている。本書が哲学の立場から提起しているのも新たな次元説である。
物理学では、二十世紀の金字塔と称される素粒子の標準模型理論がほぼ完成し、理論としての整合的説明性と高速加速器による実験・検証によって不動の地位を固めている。
本書が提起する新たな次元は、標準模型理論のその先の「プランクスケール」という、物理学上の最極微のスケールに隣接し、無の問題、時空以前、素粒子の起源、対称性等の物理学のテーマを共有し、不確定性関係の振動を現実に共有する新たな非時空の次元である。この非時空の次元を加えて宇宙は全体をなすとするのが本説であり、これによってはじめて哲学の主観‐客観の問題や我(自己)の問題も解明され、宗教の世界も排除されるものではなくなる。
以上の説がどれだけ証拠性をもつことができるか。本書がもっとも注力しているのがそこである。
目次
第一部
第一章 学問と真理
1 真理論の衰退
2 カント哲学の齟齬
3 量子力学という裂開
4 近現代哲学のアポリア
5 主観-客観問題と量子力学
6 見えない自己
第二章 もう一つの認識
1 ひとは詩人
2 哲学の原初
3 超える弁証法
4 無
第二部
第一章 明けゆく次元
1 光と真理
2 世界と自己
第二章 生成場の次元
1 生成場
2 霊体我の知
3 永遠と無碍の拡がり
4 本質世界
5 本質価値
6 「世界製作」と本質価値の破れ
第三章 物理学との接点
1 物質の起源と生成場
2 時空の起源と生成場
3 発振するところ
4 対称性と本質価値の破れ
第四章 生成場-現象界
第三部
第一章 光の範型
1 光の範型と真理論
2 万物の探究者、プラトン
3 物質の無と時空の無、エックハルト
4 そしていまや夜が明ける、ヘルダーリン
第二章 範型の意味
補遺――宇宙の起源、超絶高温と光エネルギー
資料――ヘルダーリン「あたかも祝いの日の明けゆくとき……」