推理小説月旦 ミステリー全論考
四六判/上製/本文254頁
装丁=高林昭太
発行日:2013/10/18
定価:2400円+税
ISBN978-4-88032-410-4
澁澤龍彥著
澁澤龍彥(しぶさわ・たつひこ)プロフィール
昭和3年(1928)5月8日、東京生まれ。本名龍雄。東京大学仏文科卒業。サドをはじめコクトー、ユイスマンス、バタイユなど数多くのフランス文学を翻訳、紹介。美術評論、文学評論、幻想小説に独自の世界を拓いた『唐草物語』(泉鏡花賞)『高丘親王航海記』(読売文学賞)など幅広いジャンルで活躍。著作は『澁澤龍彥全集』『澁澤龍彥翻訳全集』に集成。昭和62年(1987)8月5日、病没(享年59)。
オビ (表のオビ文)
《深夜叢書社創立50周年記念出版》
幻想・怪奇・恐怖・悪夢・迷宮・死――
ミステリアスな人間精神や文明の世界の涯を、
永遠を呼吸しながら旅した〈知〉の思索者の
ミステリー宇宙誌
オビ (裏のオビ文)
鮮烈な衝撃力、ミステリーの神話学
「推理小説はペダンティックでなければならない」――
スタイリスト・澁澤龍彥の面目躍如たるミステリー時評、
さらには、E.A.ポオ、江戸川乱歩、小栗虫太郎、夢野久作、
久生十蘭、中井英夫ら偏愛する作家たちへのオマージュなど、
〈ミステリー〉に関する論考、エッセイを初めて集成!
目次
I 私と推理小説――情熱あるいは中毒
推理小説とオカルティズム――小栗虫太郎を中心に
ミステリーにふける――AL’ESSENCE(本質を求めよ)
推理小説月旦―― 一九六〇年十月-六一年三月
Ⅱ ポオ(「古典案内」)
黄金虫
江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説
玩具愛好とユートピア――乱歩文学の本質
夢野久作の不思議
『夢野久作全集』第一巻
絢爛たる知的遊戯への招待――小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』解説
「小栗虫太郎・木々高太郎集」解説
『久生十蘭全集』第二巻の解説
スタイリスト十蘭
久生十蘭のこと
橘外男『青白き裸女群像・他』解説
『大坪砂男全集』第一巻 解説
中井英夫『幻想博物館』解説
中井英夫『悪夢の骨牌』書評
中井英夫について
中井さんのこと
埴谷雄高のデモノロギー――銅版画の雰囲気
ダンディズムとフランス料理
佐野洋『透明受胎』
澁澤龍彥編『暗黒のメルへン』編集後記
Ⅲ 仮面について――現代ミステリー映画論
『怪奇小説傑作集』第四巻 解説
私の好きなミステリー・ベスト10――ミステリー映画ベスト1
推理小説に関する381人の意見
犯罪文学者考
*
〔編註〕
本書には、いわゆるミステリー論に加え、その周縁に位置する論考もいくつか収載した。「埴谷雄高のデモノロギー」「『怪奇小説傑作集』第四巻 解説」「犯罪文学者考」がそれである。「埴谷雄高のデモノロギー」において著者は、埴谷雄高の『死霊』と小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』は、「悪魔学的雰囲気が蒼古たる銅版画のモノクロームの色調をもって、小説の全体に一貫して流れている」点でよく似ている、と指摘している。埴谷に関する論考、エッセイには他に「金魚鉢のなかの金魚」「あの頃の埴谷さん」などがある。