ドストエフスキィの〈世界意識〉
      その文学・人間・思想・社会観の小宇宙

A5判/上製/本文349頁
装丁=高林昭太
発行日:2009/11/11
定価:2800円+税
ISBN978-4-88032-296-4

立石 伯著

立石伯(たていし・はく)プロフィール

1941年、鳥取県生まれ。法政大学大学院博士課程修了。日本近・現代文学専攻。元・法政大学文学部教授。著書の作家論・作品論に『埴谷雄高の世界』『高橋和巳の世界』『武田泰淳論』『石川淳論』『北京の光芒・中薗英助の世界』『極限の夢に憑かれたものの究極―ドストエフスキィと埴谷雄高の夢と小説について』等があり、小説に『朔風』『西行桜外伝』がある。

オビ

従来論じられることの少なかった『作家の日記』『論文・記録』を軸に据えドストエフスキィの精神の深奥に分け入る果敢なる試み。作家の文学・芸術観、人間論から、ロシア論、西欧論、さらに宗教論、社会思想、政治・経済論、宇宙論までを文学空間の拡がりにおいて開示する渾身の書き下ろし評論。〈精神のリレー〉を継承する第一走者の疾走を目撃せよ。

目次

第Ⅰ部 ドストエフスキィの想像力と創造世界
  第一章 ドストエフスキィの精神世界のあり方
   序説 その精神世界に接近するために
   その生誕とその時代
  第二章 作品世界のあり方
   文学者の誕生―『貧しき人々』の特質
   空想家と現実の相
   ペトラシェフスキイ事件とは何か
   信念の甦生
   『夏象冬記』について
   『地下生活者の手記』に収斂される作家活動の転機について
第Ⅱ部 夢と虚無の彼方と現実世界―『作家の日記』の多様性
  第一章 雑誌にかけた夢
   雑誌発刊による現実と小説の可能性の探究
   雑誌出版と闘いの方向
   『作家の日記』という方法
  第二章 短篇小説群と夢のあり方
   夢の意義
   夢の方法の具体化
   夢と想像力の冒険
   都市生活者について
   短篇小説における高度な達成
第Ⅲ部 現実透視力とヴィジョンの究極
  第一章 ロシアの大地とは何か
   土地(ポーチヴァ)ということ
   民衆について
   農奴解放と農村共同体(ミール)の問題
   農奴解放後の展開
  第二章 イデオロギィの特質と芸術認識
   現実とは何か
   スラヴ主義と近東問題
   芸術意識の尖鋭化

ページのTOPへ